小学館 (2012-11-02)
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陰惨だった僕の青春時代を思い出してあの頃の鬱屈とした気持ちを思い出しました。
タイトルはラノベっぽくて敬遠してましたが、読んでみると人物描写が上手くて土下座な気分です。
根暗の自負がある人なら、主人公のひねくれっぷりに共感したり、心の傷が痛んだりするのではないのでしょうか。
やれやれ系主人公というか、やたらひねくれた感じの主人公、
「比企谷 八幡(ひきがや はちまん)」
の織り成すリア充ハーレム青春ラブコメ。
間違いなくこいつはリア充。
本物の根暗ボッチマンなら女の子とまともに話せるわけありません。
その点、材木座の女の子に対する態度はリアルだった感じ。
まあ、はちまん君もラノベの主人公ならこれくらいできないとやっていけないでしょうから、
ぼっちっぷりもなかなか現実に即していたのでよかったです。
やっぱり物語に華を持たせるだけの実力があるのはいいよね。
ラノベ独特なライトな主人公の語り口は最初鼻についたけど、それも慣れればふんふーんと読みこなせます。
物語はこのはちまん君が年齢を気にしているクールな国語女教師
「平塚 静(ひらつか しずか)」
に作文を添削されるとこからはじまります。
青春を捻くれ曲がった捉え方をし、リア充爆発しろという文言で作文を締めくくったために、こっぴどく叱られ、その性根を叩きなおすため、奉仕部という部活に叩きこまれます。
この作文がなかなか的を得ていて、俗に言われる”青春”の本質を抉り出して床にたたきつけ、その醜態を指示するようなものです。DQN系リア充にこの作文の意味は一生かかっても理解できまい。彼らには現実を直視する能力がかけているから。(個人的な体験による)
奉仕部で出会うのがメインヒロインであろう「雪ノ下雪乃(ゆきのした ゆきの)」
表紙でかわいらしくちょこんと座っている子です。
この子がまたものすごい人格破綻者。
はちまん君は罵倒されてもほどほどに仲良くやってますが、僕なら泣きます。泣きました。
見た目は清廉な美少女なのですが、物事をはっきり言い過ぎてやヴぁいです。
ニーチェでいう超人なのかどうかは知りませんが、この子のそばにいると大変だローナーと思います。精神的に。
んで、この子はすごいよく出来る子なので、作中にもあったノブレス・オブリージュ的な考えで悩める人々に奉仕するこの部で活動しています。
活動方針としてはあくまで忠告をし、自立を促すといったもの。
飢える人に魚を与えるのではなく、獲り方を教える。
厳しいなぁ、せめて餓えを満たしてあげてから獲り方も教えては?と思うのですが、甘やかすととことん甘える人もいますからね。正解だとおもいます、はい。
この部に最初に訪れる悩める子羊が、「由比ヶ浜 結衣(ゆいがはま ゆい)」
見た目ビッチで中身アホ。
こんな子たまにいますよね、バカ女です。僕は好きです。女のいいバカさだけを集めたような子。
次に来るのが厨二病こじらせちゃった「材木座 義輝(ざいもくざ よしてる)」
主人公たちにお手製のライトノベルを持ち込み、感想を求めたり。
作者さんの小説への思いが感じられます。
そのまた次が可愛らしい男の娘枠の「戸塚 彩加(とつか さいか)」
作中、もっとも女の子らしい男の娘。はちまん君がひたすらに好意を寄せています。
健気でいじらしく、かわいいです。
ただ、テンプレに沿って作りました感が否めないので、次巻以降の活躍を期待といったところです。
ストーリーはまあまあ、といったところでしょうか…
学内で収まる話しかないので日常の範囲内です。夢あふれるワクワクドキドキの冒険なんてものはなかったです。
ストーリーやギャグなんかよりも、人物の描写がうまかったなぁ、という印象。
ただ、はちまん君に対しヒロインたちがデレてくれるかとおもいきや、貶す。毒舌っぷりにクスっときたり。
ぼっちが感じるあの学校の窮屈さはよくかけてたなーと思います。リア充の描写が本当僕の知ってるものとほぼ変わらない。リア充のDQNっぷりは全国共通なのかなーって思ったり。
スクールカーストって怖いね。
登場人物ほとんど全員があの学校という空間で鬱屈したものを感じながら過ごす空気感。
ほんと人生って辛いよね。
物語でも読んで元気出したいなーと思って隠れ名作の噂を聞いて購読したらこれだヨ。
人によっていろいろ思うところが出てくる作品だと思います。
おもしろかったですよ?
当時の空気を思い出したので、これからの戒めとして忘れないようにしたいです。
あー、最後ははちまん君が決めてくれてよかったー。
やっぱり、主人公はこうでなくちゃね?
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