2013年12月11日水曜日

【フリーゲーム】箱庭のうた【レビュー】

箱庭のうた
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タクティカルシンパシーさんの送る最高峰フリーノベルゲーム。
そこらの下手な商業作品よりも面白いです。
絵も音楽もシナリオも、すべてが高次元でまとまった素晴らしい作品。


よもやこんなおもしろい作品だとは思いませんでした。
作者様が丁寧に作りこんだのがよくわかる素晴らしい一作です。
正直、鈴木悠羽さんの文体は平易でつらつらと文章を連ねているだけのように感じていましたが、見直しました。
冷静さの裏に人としての温かみを感じるような場面も多々有り……。
本当はキャラとして見なきゃいけないかもですが、他の作品もプレイした僕としては意外な一面を見たような気がしてついつい。

ストーリー

とある島に住む主人公と仲の良い幼なじみの4人。
みんなと楽しく過ごす毎日。
そんな折、主人公は夜の学校で見知らぬ女の子と出会う。
忘れ物を探しに来た主人公に対して、彼女は『敵』を探しにきた、と。
その翌日、「佐藤ことり」と名乗った女の子は主人公の通う学校に転校生としてやってくる。
同じ頃、主人公は「暗い世界」の夢を見るようになる。
「佐藤ことり」にはある秘密があり、その秘密は「暗い世界」の謎へとつながっていて……。

というのが序盤のあらすじ。
最初のうちはよくある転校生ものとして進んでいきます。
メインヒロインである「佐藤ことり」は記憶を失っており、日常でのほとんどの記憶さえない。
それを気にかける主人公はそのうち仲良くなっていき、ともに日常を過ごす仲間となります。
何気なく過ごす日常の中で、主人公は彼女の「秘密」を知っていく……。

ストーリー中には多分にSF要素も入っていますが、設定が緻密に考えこまれている……というわけではなく、ところどころご都合主義的なところもあります。
かといって、ご都合主義要素が目立ちすぎて萎えるほどではなく、細かすぎるところまで突っ込まなければ普通に楽しめます。
この作品の見所はどちらかと言うと日常の描写や、キャラクター達の成長でしょう。
みんなそれぞれ悩みや不安を抱えていて、仲間たちと接するうちに解決するための勇気を持つ。
見てて思うわけです。
仲間っていいなぁ、って。

エンディングは人によってハッピー・バッドが別れるところだと思います。
個人的にはハッピーとは思いますが、同時に少し寂しい終わり方だなぁ、とも。
その儚さもまた美しいのではないかと。

キャラクター

みんなみんな個性的で、キャラ被りな感じもなく、良いキャラばかりでした!
どいつもこいつも真面目一辺倒ではなくユニークさを持っていて飽きることなく最後まで楽しめた。
お気に入りはイリナさんに日寄子、クリスに大野、夏之といったところかな?
大野にはチャラいキャラに笑わせてもらいましたし、夏之の女男っぷりも素晴らしい。
日寄子は素直じゃない可愛い妹キャラですし、クリスは大野との組み合わせがおもしろい上、くそ真面目なとこが好感もてた。
イリナさんはおっぱいですよね。おっぱいおっぱい。堅物っぽいけどおちゃめなとこもあって、可愛らしいお姉さんですよね。ビジュアル的には一番好きです。

グラフィック

文句なしでしょう。フリーゲームでこれ以上の画力を求めようもないです。
背景も美しく、キャラも可愛くて素晴らしい。
商業でも十分やってけるのではないでしょうか。

音楽

場面にあった音楽で良かったと思います。
ただ、耳に残るような曲はなかったかなぁ。
作品の雰囲気はよく伝わってきて、世界への没入をより深くしてくれました。
ボーカル入りの曲も3曲ほどありましたが、なんというか声がこもっているというか……。
歌手の声質なんでしょうかね? 個人的にはもっと澄んだ声の人がよかったです。
フリーゲームでボーカル曲ってのが力の入りようが伝わってきます。
個人的にピアノが好きなんでピアノ曲よかったです。ほんと、ピアノ曲には弱いです。

そのたもろもろ

キャラが可愛いのが多かった分、ヒロイン一人ってのが惜しいです。ホント。
イリナさん攻略させてください。日寄子も攻略させろください。夏之ルートも作ってください。
演出の際立った点で言えばやっぱりラストでしょうか。やっぱねぇ、定番だけど感動しちゃうよね……。
あと対峙する二人を画面いっぱいのCG2枚で表現したりとか迫力ありましたね! CG枚数自体も多くてすごいのなんの。日寄子のとこよかったなぁ、としみじみ……。

終わりに

こんなんで魅力を伝えきれているのかまったく自信がありませんが、よいと思えるところはよいとしっかり書いた気はします。
なんだか、主人公たちの送る日常がまぶしすぎて作品から離れるのが惜しい気持ちになります。
素晴らしい作品だったなぁ。
あまりのまぶしさになんだか心が寂しくなっちゃいますね。
こういう世界を紡げる人ってすごいなぁと思います。
次回作があるのなら、次は魅力的なキャラクターを出すなら攻略させてくれ!
やーでも、物足りないくらいがちょうどいいのかなぁ。
なんか久々にキャラ萌えした気がする。
さて、今日もちょっと夜更かしになったのでここらで失礼。
より多くの人の目に留まり、作者様の糧となるように祈っています。
こんな名残惜しくなる作品をありがとう!

追記

たったいま同作者様の「牢獄の庭」プレイしました。
まさか主人公があの人とは…
箱庭のうたの前日譚となっていますので、気になる方はプレイしたほうがよいでしょう。
箱庭のうたプレイ済みだったので、黒い影の正体などはまるわかりでオチも気になりませんでしたが、初プレイが牢獄の庭だと終わり方が釈然としないかもしれません。

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